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はーとぼいるどワンダフル。

映画、テレビ、マンガなどなど。たまに広告のことも。

ママーFuckしたい!!とオヤジが叫ぶ映画『ブルーベルベット』


 いや、ほんと普通な映画でした。どのタイミングで、わけのわからないリンチワールドが炸裂するのかと身構えていたのに、最後まで普通な映画でした。ヒッチコックの『裏窓』のような話です。

この映画、なんといってもフランク役のデニスホッパーの怪演っぷりが光ります。

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 イザベラロッセリーニに対し、「ママー、fuckしたい」と甘えたかと思うと、「おれを見るんじゃねえ!」とブチ切れ。やばい、やばすぎるよデニスホッパー。そんな、デニスホッパーを気狂いたらしめる装置のひとつがガスボンベ。変態ファックの時は、かならずガスを吸うのですよ。ちなみに、このガスはヘリウムガスだったそうです。本来、リンチの脚本では、フランクがヘリウムガスを吸って赤ん坊の声になると書かれていたが、デニスホッパーは滑稽だと言って拒否したのだそうです。なので、このガスはいったい何?と僕はずっと思っていました。まあ、狂気を感じさせる装置としてはバツグンなんですけどね。


 でも、なぜ『ブルーベルベット』を普通の映画と感じたのか。これは僕の個人的な話ですが。

 要はよくある話だからだと思います。行きて帰りし物語なんですよ、この映画。行きて帰りし物語ってのは、一度、現実から逃げる、もしくは挫折した主人公が異世界に迷い込み、成長し、再び現実に戻ってくるっていう認識で正しいはずです。この手の映画を数えたらきりがありません。『はてしない物語』『指輪物語』そして、ジブリ作品全般(崖の上のポニョは除く)大体がファンタジーですね。


では、『ブルーベルベット』のどこが行きて帰りし物語なのか。以下にまとめてみます。

【1】ジェフリーの失望
この映画はジェフリーの父親が倒れた所から始まります。都会の大学に通っていたジェフリーは故郷に呼び戻され、父の代わりに家業を継がなければなりません。失望したジェフリーは『素晴らしきかな人生』の主人公のように、願掛けをこめて石を投げようとします。

【2】異世界の入り口としての耳
そこで拾ったのが耳です。耳はダリなどの画家がよく描く対象なのだそうです。サンディから、切り落とされた耳がクラブ歌手のドロシーと関係があると聞き、ドロシーの家、異世界へと足を踏み入れます。

【3】性愛と狂気の世界
ドロシーの家は、ジェフリーが今まで知りもしなかった世界の暗部です。サディズム、性的倒錯、奇声が飛び交う世界。ジェフリーはドロシーとの変態セックスを通し、そんな異世界に深く関わってしまいます。

【4】コマドリの世界へ
結局、ジェフリーはフランクを撃ち殺し、サンディの語るコマドリの世界へと帰ってきます。

 まあ、ざっとですがまとめてみました。こうした物語の構造もそうですが、結局ジェフリーが帰ってくる場所が愛の象徴であるコマドリの世界ということが、この映画を普通だと感じる最大の理由なのでしょう。これをひっくり返したような映画はたくさんありますからね。狂気の世界に戻っちゃうやつとか。


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