映画

ウォン・カーウァイ『天使の涙』 男と女。いつも時間は少し足りない。

ウォン・カーウァイの『天使の涙』を再見。やっぱり僕にとって最高の映画だ。 そもそも僕がウォン・カーウァイを知ったきっかけは『恋する惑星』を賞賛するタランティーノの言葉だった。 個人的分析によると、僕はこの映画を愛している。僕は自分が泣いてい…

『ムーンライズキングダム』ウェス・アンダーソンとサリンジャーの共通点。

昨日、ウェスアンダーソン監督の『ムーンライズキングダム』を観に行った。相変わらず綿密に作り上げられた絵本のような世界観に大満足。しかし、ひとたび世界観やギャグを取り除いて考えると、そこに残るのは「この世界と相容れない人の苦悩」であり、「基…

【人】知らない女性の夫になりきる。ヤクザのビルに連れて行かれる。園子温の狂気に満ちた人生。

園子温。僕が好きな映画監督の一人である。かなりアクの強い映画を撮るので、好き嫌いがはっきり分かれる。ちなみに女の子で「園子温好き!!」って子を僕は見たことがない。つまりはそんな感じの監督。わりと国際的な評価が高い人でベルリン映画祭、ヴェネ…

【映画】『レイジング・ブル』唐突にぶちギレる、スコセッシ的瞬間

【スコセッシ的瞬間とは】 マーティンスコセッシの映画に必ず出てくるモチーフが唐突な「ぶちギレ」だ。 それは大体においてデニーロ、ジョーペシが急にぶちギレ、ムカつく奴をめちゃくちゃにぶん殴ったり、メッタ刺しにする。 映画評論家の町山智浩氏はこう…

【映画】『パリ、テキサス』それは男、女。

ヴィムヴェンダース監督作品で、第37回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『パリ、テキサス』 4年間砂漠を放浪したトラヴィスが精根尽きて倒れたところからこの映画は始まる。 言葉を失った兄を保護し、家につれて帰る弟。弟に促され、トラヴィス…

【映画】『サンセット大通り』1950年、ビリーワイルダーはメンヘラを描いていた。

B級映画の脚本家であるジョー・ギリスはスランプに陥っていた。いくら脚本書いてもボツ! そんなある日、彼は知人から借りていた車の取り立て屋から逃げる途中に豪華な屋敷に迷いこむ。 そこはサイレント映画時代のスター女優であったノーマ・デズモンドが、…

【映画】『未来は今』コーエン兄弟とテリーギリアム

コーエン兄弟の『未来は今』を観た。メインキャストがティムロビンスにポールニューマンという当時のコーエン兄弟としては異例の予算をかけた大作だったらしい。しかし興行的には稀にみる惨敗という結果に、、、 未来は今 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン…

『市民ケーン』は何が凄いのか、歴史的傑作の理由。

『市民ケーン』は傑作である…と言われている。だけど、今の時代にこの映画を観る人(僕含め)は「おもしろいけど、どこが凄いの??」ってなっちゃう。 その原因は、この映画が全く古くさくないからじゃないだろうか。僕らは回想形式に基づいた物語に対し親…

【映画】蓮實重彦が語るクリント・イーストウッド

最近、イーストウッドの映画がよくわからない。『よくわからない』という言葉が非常に当てはまる映画ばかり撮っている気がする。 ミスティックリバー、グラントリノ、チェンジリング。どれもよくわからない。すっきりした気分で観られないのだ。よくわからな…