【映画】『サンセット大通り』1950年、ビリーワイルダーはメンヘラを描いていた。

B級映画の脚本家であるジョー・ギリスはスランプに陥っていた。いくら脚本書いてもボツ!
そんなある日、彼は知人から借りていた車の取り立て屋から逃げる途中に豪華な屋敷に迷いこむ。
そこはサイレント映画時代のスター女優であったノーマ・デズモンドが、召使のマックスと共にひっそりと暮らす家だった。
ここからジョー・ギリスの悪夢が始まる。



ノーマ・デズモンドは、ギリスが脚本家であることを知ると、無理矢理、屋敷に泊める。
しぶしぶ泊まったギリスが目を覚ますと、衣類など自分の持ち物が全て屋敷に持ち込まれているのだ。


『あなた、取り立てに困っているそうね』
どうやらノーマ・デズモンドはマックスに頼み、ギリスの身辺を調べさせたらしい。ギリスの持ち物は全てマックスに運ばせたのだ。
お金に困っていたギリスは多額の報酬と引き換えに、住み込みで脚本の添削をすることになる。


ギリスには自由が無い。ノーマ・デズモンドの束縛から逃げ、友人のパーティに行くと、彼女は発狂し、手首を切り自殺未遂をしてしまう。



『あなたが一緒にいてくれなきゃ死ぬー!』



正に元祖メンヘラだ。

ノーマ・デズモンドはハリウッドのスターであった過去から逃れられない。彼女は今でも多くのファンレターが来るというが、それは毎日マックスが用意しているのだ。彼女はマックスが作り上げる完全に閉じた世界でハリウッドスターを演じ続ける。



この映画の特徴はノーマ・デズモンドを演じるグロリア・スワンソンの存在だ。
グロリア・スワンソンは実際にサイレント映画時代の伝説的スターだったそうなのだ。

こういう役者の人生と役柄を一致させることは映画に異様な説得力をもたらす効果があり、
最近だとダーレンアノロフスキー監督の『レスラー』や『ブラックスワン』
そして邦画では『ヘルタースケルター』だ。
もっとも、『ヘルタースケルター』は本当にゴミみたいな映画だったが、笑



圧巻なのがラストシーン。
ギリスを殺したノーマ・デズモンドの下に警察、新聞記者が訪れる。
ニュース映画のカメラを目にした彼女は、とうとう自分が主演の映画の撮影が始まったのだと思い込む。
マックスの「アクション!」の声と共に彼女は最後の演技を始める。



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