リドリー・スコット監督「悪の法則」はとんでもない傑作だった。

リドリー・スコット監督の「悪の法則」を観た。

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あらすじはこんな感じ。

弁護士である”カウンセラー”と呼ばれる男と彼の恋人のローラがベッドでいちゃついている。そのころ自動車工場では、ドラム缶に入れたコカインをバキュームカーに隠す作業が行われた後、バキュームカーはデザート・スター下水処理会社に向けて出発した。カウンセラーは、仕事と偽ってアムステルダムに行くが、実際の目的はローラのために宝石商から婚約指輪を購入するためだった。アメリカに戻ったカウンセラーは、友人の実業家ライナーと彼の愛人マルキナが所有するペントハウスのパーティに参加し、ライナーから「ボリート」という、首を締め付け切断する殺人装置について聞く。そして、以前ライナーから勧められていた麻薬ビジネスを一回限りでやることにしたカウンセラーは、ライナーの経営するレストランでローラにプロポーズし、彼女はそれを受け入れた。後日カウンセラーは、ライナーから紹介された麻薬の仲買人ウェストリーに会い、取引の利益率が4,000%であることなどを聞く。

キャストは、マイケル・ファスベンダーペネロペ・クルスキャメロン・ディアスハビエル・バルデムブラッド・ピットと、超豪華メンバーであるが、、これがまたぶっちぎりでおかしな映画であった。キャスト目当てで見に行ったお客さんは口がぽかんと空いたことだろう。

この豪華キャストでジャンルとしてはバイオレンス・スリラーにも関わらず、映画の序盤60分ぐらいは会話劇に終止し全く何も起こらないのである。

後半、物語は不自然なほど、急に動き出す。
カウンセラーはクライアントであるルースの息子を釈放させたことによって、組織に裏切りの疑いをかけられる。ルースの息子は敵対する組織の薬の運び屋だったからだ。ルースの息子は殺され、そこからこの豪華キャストたちは組織から徹底的に蹂躙される。

この映画の脚本は「ノーカントリー」のコーマックマッカーシーである。コーマック・マッカーシーは本作で初めて純粋な映画の脚本の仕事をしたらしい。
ノーカントリー」はこの世界に突如あらわれる暴力や純粋悪を描いた作品だった。冒頭のトミー・リー・ジョーンズ演じる老保安官のセリフがそんな世界の様相を端的に言い表している。