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シン・エヴァ 批評家の感想まとめ

東浩紀

エヴァンゲリオンを好きでいてよかった。

批評家、哲学者、小説家の東浩紀が、シン・エヴァ配信番組「全世界最速 シン・エヴァ全 世 界 最 速 シン・エヴァ・レビュー生放送! さようなら、ぼくたちのエヴァンゲリオン。」で語っていた。

東浩紀には、EOE(旧劇場版 Air まごころを君に)のインパクトがあまりにも強く、その後、マーチャンダイジングで商業化するエヴァが嫌だったという。序は映画館すら行かず、Qはトークショーのために観に行ったが、がっかりして、色んな変遷があって、今後残るのはやっぱりガンダムなのかなと思っていたと語る。

あの時、僕は24歳、庵野さんは35歳、それから25年くらいたって、僕は50近く、彼も還暦を越えたと。その25年間で、庵野さんは同じことをやっているわけだけど、それは確実に成長して変化しているわけだよ。それが今回観れたってことは凄いことで。人はだから35歳を越えても、変われるし、しかも同じなのに変われるんですよ。庵野さんは完全に同じなんですよ。EOEと今回の映画は完全に同じなんですよ。なのに、変わってるんですよ。それにとても感動するし、そういう映画をエンタテインメントという形でできる、そんなことができるのはこの世界に日本のアニメしか存在しない。これはね、大変なことですよ。他のすべてのアニメは何でもいいですよ。表現を柔らかくしたけど(笑)これね、全然違いますよ。こういうものが良いと思ったから、僕はアニメが好きだったんですよ。

僕は、エヴァンゲリオンの影響が強いことから、目をそらしてた。

僕が哲学とかやっているのは、実はエヴァンゲリオンの影響が強いんですよ。僕は、エヴァンゲリオンの影響が強いことから、目をそらしてた。エヴァンゲリオンって今のジェンダーバランス的にかなりやばいし、そもそも中二病だし、プラグスーツとかも単にエロいだけだし、全く意味不明だし、当時としてはいいけど、今みると「あ~恥ずかしい!」みたいなのあるじゃん?2000年代にこれを観るのってきついな、エヴァはやっぱり90年代のオーパーツみたいなものなのかもしれないと思ってたけど・・・・・・・・・今回、良かった。エヴァンゲリオンを好きでいてよかった。

東浩紀は、ここ25年で観た映画の中で最高だったのは、結局、EOE(旧劇場版まごころを、君に)とシン・エヴァだったとも語っていた。

大塚英志

他社を排除する思想が世界に広がることを25年前に正確に批判的に描いとことがエヴァの価値である。

大塚氏は、庵野秀明監督が作品で問うたのは「他者の消去」だと指摘する。それは今の社会でより鮮明になってきた課題だ。「自分が理解できない他人がいて、その他人と折り合いをつけ社会や世界を作っていくのが近代社会だった。今はそれを排除する『分断』に陥っている」という。

「理解できない思想を持つ人間にレッテルを貼り、『反日』などと決めつけ、いなくなってしまえと考える。意図がよく分からないが日本を襲ってくる使徒はまさに不条理な他者で、人類補完計画はそれを取り込み、自他の障壁を消そうとする。だが、作品では他者がいない世界は間違っていると結論を示した」

他者を排除しようとする思想はSNSの普及とともに世界的に広がっている。「分断といいながら、他方の殲滅(せんめつ)を考える。米大統領選のバイデンもトランプも皆がおのおのの自己補完を考えていた。好きなニュースを見て、嫌なニュースは見ない。そうなってしまう未来を25年前に正確に、批判的に描いたところがエヴァの価値だといえる」と大塚氏は力を込める。

シンジは劇場版でも他者との融合を拒み、アスカとともに世界に残される。「近代社会では互いに話し合い、合意しながら社会を形成するが、一方で『おまえなんか消えてしまえ』という心もある。だからアスカは『気持ち悪い』と他者としてシンジを拒絶した。そうやって個を生きるしかない。それが近代社会だから」と大塚氏は訴える。(日本経済新聞夕刊2021年1月18日付インタビューより)

世界の命運を託されたシンジやアスカらは14歳という設定だった。大塚氏は「放送からしばらくして神戸連続児童殺傷事件などが起きる時代で、あのころの10代はひどく不安定だった。庵野監督はそうした10代のピリピリした心に意識的に反応したから、彼らの心に響いたのだろう。今は当時の10代が抱えていた不安定さがもっと幅広い世代や、世の中全体に及んでしまったのではないか」とみる。

「10代というのは世界に対峙しなければいけないと思いつつも、世界に対して恐怖する。そうした矛盾した状況に置かれている大人が増えているのでは」

庵野監督のパーソナルな感性に基づいて制作された作品だからこそ、逆に普遍性を持ち得た、とも分析する。大塚氏は「作品自体が監督の自己治癒だったのではと思う。病んでいたといえば失礼になるが、庵野監督が治癒していく過程にこそ、あの頃の14歳が感じていたイライラの正体があったのではないか。それ故に25年がたった時に、先駆性を持った批評になり得た」と話す。(日本経済新聞夕刊2021年1月18日付インタビューより)

宇多丸×コンバットREC

アフターシックスジャンクション、ポッドキャスト配信にて

宇多丸 感動というより感慨。

観終わって、率直に言うなら、じんとしました。それは、感動というより感慨。25年たって辿り着いたある種、わかりきったというと意地悪だけど順当なところに落ち着いた。落ち着ける庵野さんになった。あとパリのところとか、やっぱり好きだからめちゃくちゃなところとか。あと農業のところとか。色々今までにないアニメ表現として、全部うまくいっているわけじゃないと思うけど。ただところどころに気持ち悪いというか、もともとそうなんだろうけどという感じですかね。

カメラの置きどころによって強調される、おっぱいやお尻じゃなくて股間なんだよね(笑)おっぱいやお尻は強調されるのに、男の股間は強調されないという(笑)でも、日が経つにつれて、エヴァやっぱ結構好きだったなあっていう。

コンバットREC 俺は、エヴァが好きというよりやっぱり庵野さん好きという感じ。

俺は、エヴァが好きというよりやっぱり庵野さん好きという感じ。俺はもうさ、夏エヴァ終わったあとから、全部の作品を庵野さんの人生を観てるつもりカレカノから。失敗してもいいんですよ。キューティーハニーで失敗してもいいし、それがその時の庵野さんだし。俺こういう気持ちになってる作家って少ないんですよ。スタローンとかぐらい。

良い映画であればそれがいいけど、そうじゃなくてもいいんです。宮崎駿さんもそうだし、富野さんもそうだけど、そういう気持ちで愛しちゃってるんで、LOVEなんで。映像作家っていう意味では、もしかしたら失礼なのかもしれないけど。作品を観てくれって気持ちがあるだろうから。

「カメラを止めるな!」上田慎一郎監督

非日常から日常への帰還。終わり方としては、これしかない。完璧。だからこそ、物足りなさも感じる。

上田監督はつい最近までエヴァは未見だったとのこと。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に向けて、2ヶ月前より、過去作を順に観て感想を語る姿、エヴァにハマっていく姿をお届けするYOUTUBEでの配信を行っていた。

エンタメとして、超面白かった。でも、物足りなさもどこかで感じている。超すっきりしたと、同時にすっきりしてない気持ちも抱えている。終わり方として完璧だとも感じた、ただ完璧なのが、エヴァらしくないという想いもある。

旧劇場版を観てから言ってきたことだが、「夢」みたいな映画だなと。「夢」というのは、僕らが寝てる間に観る夢のこと。映画は起きてる間に見る夢だと良く言われるんですよ。それを体現しているような映画だなと思ったんですね。

鬼滅の刃無限列車編も、夢を見せる敵がいて、という世界。千と千尋も、まるで夢の世界、非日常に旅立って日常に帰還しますけど。あとうる星やつら2ビューティフル・ドリーマーとか、パプリカとか、ドラえもん夢幻三剣士とか、マトリックスとかインセプションとか。夢を描こうとした作品て凄く多くて、それは映画とか映画館に凄く相性が良い。

結局、その夢は覚めるんだけど、ずっとエヴァは覚めなかったんですよ。エヴァは覚めない夢だったんだろうなと思ったんです。覚めない夢=最強のフィクションだと思ったんですだからみんな夢の中で彷徨ってた。夢の中で彷徨って、夢を膨らませ続けたんじゃないかって。ファンの皆が夢の続きを語り始めたんじゃないか。自分なりの夢の続き、考察とかを語り始める。その夢に影響された誰かがまた夢を語る。エヴァはみんなで創った長い長い夢だった。エヴァを愛するみんながエヴァを補完し続けてきた。

そんなエヴァが夢から覚めた。エヴァの終わり方としては、これ以外しかない。非日常から日常への帰還。終わり方としては、これしかない。完璧。だからこそ、物足りなさも感じる。
今までエヴァはこれしかない。ってことを選択してこなかったんだと思うんです。きれいに終わるとか、話を畳むってことをしてこなかったのがエヴァ。「期待に応えないで」ってみんなが思っていたが、期待に応えてしまった。

滝本竜彦

完璧な終わらせ方だった。

僕がエヴァを終わらせるとしたら、どうやるだろうってシミュレーションしてきたけど、それに結構近かったです。完璧な終わらせ方だった。
テーマが完璧に回収されてて、しかもアクションと融合していて、エヴァというストーリーの中で、一番高いところにピークを持ってこれた。完璧。エヴァンゲリオンから卒業できた。

前回(EOE)はシンジとアスカが喧嘩してた。あれは本質的なバトルじゃないから解決しなかった。今回、一番根深い問題に光があたったおかげで解決して、終わってよかった。アスカとシンジがぶつかるのは、お互いの問題から目をそらすためにぶつかってる。(両方とも家族や生い立ちに問題があるのに)

宇多田ヒカル

私も「喪失」をテーマに曲作りをしてきたから。

宇多田:私は今回、映画が完結して、そんなに打合せとかしてないのに、なんか私の唄と庵野さんの作品がなんかあってるなって思うのは、これだからかなって想ったのが、私はあったんですけど、庵野さんは何か共通点って感じたことありますか?私と。
庵野:なんか近い感じがしたことはありましたけどね。唄を聞いたときに。それが何かというと分かりづらい。
宇多田:わたしは人間ドラマとして、エヴァを観ていたんですね。完結して脚本をもらって、曲も作り終えてちょっとした時に。私の曲のテーマが、結局、「喪失」というものにどう向き合うかっていう唄になったんで。ふと、映画を振り返ると、人間が喪失というものにどう向き合うか、なにか欠けてしまったり、失ってしまったものに色んな反応をするじゃないですか。否認とか、受け入れるとか色んな喪失とどう向き合うかっていう大きなテーマがあったから、私も凄く惹かれる作品だったのかなって。私も「喪失」をテーマに曲作りをしてきたから。
庵野:たしかに、「喪失」は大きいテーマですかね。最終的には、「喪失」を受け入れるだけの話なんですよ(笑)
宇多田:うん。それが簡単にはいかないっていう。
庵野:「喪失」から逃げるのをやめて、自分の中に落とし込むっていう話なんですよね。それを描くのにちょっと時間がかかっちゃったなって。自分自身が受け入れるのは、割と前にできてたはずなんだけど、それを表現する方法がなかなかできなかったかなって。

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