はーとぼいるどワンダフル。

映画、お笑い、マンガなどなど。たまに広告のことも。

「鬼滅の刃」はなぜ大ヒットしたか?鈴木敏夫ら業界関係者の批評まとめ

鬼滅の刃ヒットの理由を語る識者の批評をまとめてみた。

ジブリ プロデューサー 鈴木敏夫

日本の歴史の中で不安定なことがあると、必ず登場したのは鬼ですよね。

あ、鬼かと思ったんですね。日本の歴史の中で不安定なことがあると、必ず登場したのは鬼ですよね。世の中が不安定になると、その原因を知りたい。それは鬼に違いないと(笑)要するに具体的に決めておいて、その人をやっつけると平安が戻ると、そういうことをずっとやってきた歴史がある。それこそ平安の時代から。江戸時代だと、鬼じゃなくて、たぬきになったけど。だから、僕らは「平成狸合戦ぽんぽこ」というのをつくるときに、同じような気持ちで、日本人がかつてやってきたことをやろうと思ってしたんですけど。出るべくして出た作品だなと思った。

こういう物語を少女漫画でやるとこうなる。

男性じゃないんですよ。それはね、僕がちょっと横で見たときに「ああこれは女性だ」って思ったんです。コマの運びがね、僕らはそういうのを見るとすぐわかるんですけれど。心の動きだけで描いてるんですよ。あまり具体的じゃないんですよね。そうすると、心の動きで描くっていうのは、まあ端的に言ってしまえば、少女漫画の手法。こういう物語を少女漫画でやるとこうなる。だからね、たぶん、闘いのシーンなんかもね、そんなにページを割かないんですよ。そこらへんに大きな特徴がありますよね。それをアニメーション化するときには、男がやるでしょ。
どうしても、そこを長くしたりするんですよ(笑)。だから、僕なんかは、原作通りやった方がいいのにと思ってるんですけどね。

漫画家 山田玲司

漫画家 山田玲司が、鬼滅の刃のヒットの理由を「山田玲司ヤングサンデー」で語っていた。

鬼滅の刃は、「大正ヴァンパイアサバイバルもの」である。

鬼滅の刃の持つ人を惹き付けるジャンル性(ヴァンパイア・ゾンビ)の強さに関して

ヴァンパイアって、ゾンビものなんですね、基本的に。噛まれるとヴァンパイアになる。ゾンビも襲われるとゾンビになる。っていう恐怖の対象の相手に自分もなってしまうっていうさ。ヴァンパイアってセクシャルなんだよね。あれは、セックスして、別の世界へ行ってしまうっていうキリスト教的な。純血世界から魔の世界へ行ってしまう。ヴァンパイアものっていうのは、純血世界から見たときの汚れへの憧れが描かれるんですね。汚れ側へ引っ張ってほしいと持っている少女たちは、ヴァンパイアものを待っているわけですよ!これを鬼に変換すると鬼滅になります。

近代の資本主義の暴力性による鬼というのと、人間の中にある野生や本能が鬼ということとも言える

彼女(禰豆子)は、レクター博士でありながら、写楽保介でありながら、タイラーダーデンだ。このキャラクターだけで勝ちですよね。
レクター博士が、「羊たちの沈黙」でさるぐつわ姿で現れた時に、めっちゃ流行るんですよ。マッドマックスのイモータン・ジョー、ダース・ベイダーもそう。口元を隠すっていうのは、牙を隠すこと。

近代の資本主義の暴力性による鬼というのと、人間の中にある野生や本能が鬼ということとも言えるわけ。だから、これは「ファイトクラブ」の話でもあるわけ。だから。タイラーダーデンなんだよ。禰豆子の中のタイラーダーデンが目覚めるっていう話でもあるわけ。


www.youtube.com


近代化する日本と鬼の話をリンクさせることに偶然成功している。

大正時代って、江戸、明治と昭和の間に入っているでしょ?近代以前の明治。明治は近代といいつつも、世界デビューする前でしょ。大正挟んで、昭和から調子にのりだすわけですよ!つまり近代になってしまうわけですよ。この話と鬼の話をリンクさせることに偶然成功している。もし仕掛けてたら凄いんだけど。

山に住んでいる平和な江戸の俺たち、庶民の俺たち、家族想いの俺たち、心のある人間の俺たちが、心の無い昭和以降の近代のあいつらになってしまうって話なんだよ。日本の歴史っていうのは、大正挟んで、鬼になっちゃうんですよ、人間が。資本主義にやられて、鬼化していってしまう。村で助け合うだはなく、心の鬼が暴走していくのが、昭和、平成の歴史なんですよ。

大正という時代は、あっち(鬼)とこっち(人間)の間

つまり、大正というのは、人間と鬼の間なんですよ。人間と鬼の間が禰豆子。大正時代=禰豆子になっている。一巻の段階でこれをやっている。彼女はかつての(江戸、明治)人なんだよね。心ある人なんだよ。

エゴイズムっていうのを鬼は象徴していて、その反対にある利他主義を炭治郎が象徴している。自分のために生きる時代から、人のために生きる時代へ、っていうのを恥ずかしげもなくテーマにしている。

小説家 石田衣良

僕たちの胸の中にある本当に深い傷に届く話。泣きながら戦って、何もかも奪われた話。

池袋ウエストゲートパークシリーズなどで知られる小説家、石田衣良が「大人の放課後ラジオ」で語っていた。
石田衣良は、鬼滅の刃とは、単純に大和魂を持って、西洋人と戦う悲しい少年たちの物語であると語る。

鬼とは、海外から来た吸血鬼である。鬼は圧倒的に強い。美しくて賢い。機械文明をもたらすことができて、機関車とも合体できる。植民地のアジアにやってきて、人々の生き血を吸い、どんどん豊かになる。戦ったら勝てない。

大和魂を持って、西洋人と戦う悲しい少年たちの物語は、白虎隊、新選組、特攻隊など、ずっとある。これは日本人にうけないはずがないわけ。これは、作者がわかって書いていたら、だめ(売れない)なわけ。無意識のうちに描いているから、こんなにあたるわけ。

実は、進撃の巨人も、巨人になるのは西洋人しかいないじゃん?黒人もいないし、黄色人種もいない。巨大な白人がやってきて人を貪り食う話。植民地支配の恐怖のメタファーの物語なんだよね。僕たちの胸の中にある本当に深い傷に届く話。泣きながら戦って、何もかも奪われた話。それを美しい絵やモノローグでくるんでくれる。

fc0373.hatenablog.com