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宮崎駿と庵野秀明 全エピソードまとめ

 庵野秀明は、宮崎駿を師匠であると公言し、宮崎駿は庵野を弟子というよりライバルだと語る。そんな二人が、「風の谷のナウシカ」の現場で初めて出会った話。それから、宮崎は自身の作品「天空の城ラピュタ」や、「となりのトトロ」の制作に庵野を誘うが、断られる話。庵野がエヴァンゲリオンアニメシリーズ終了後に、自殺も考えるほど参っていた時に宮崎から激励の電話があったことなど、「お互いについて言及したエピソード」をまとめてみた。
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宮崎駿が語る庵野秀明

「風の谷のナウシカ」での 庵野秀明との出会い

宇宙人が来たと思いましたよ。

宇宙人が来たと思いましたよ。友人から借りた背広の上下を来て、はだしの足にビーチサンダルを履いてやって来ました。みた瞬間に、こいつ面白いとおもったから、やれって(ナウシカの原画を)言ったの。(NHK 「さようならすべてのエヴァンゲリオン」より)

(巨神兵は)核爆発みたいなのを起こすんですね。光線を発射して巨神兵は。その資料に核爆発ばっかりを集めたビデオを持ってきて、ずっと見てて、あいつ頭おかしいって(笑)ずっとスタジオに住みついてて、だからあいつ一日に何時間仕事したんだろう(笑)来ると机の下から足が出ていて。原人の足って呼んでて、ごわごわで(笑)そういう男です。(NHK 「さようならすべてのエヴァンゲリオン」より)

一緒に仕事をやらないのがいいですよね。自分の方がいいと思うんだから絶対両方とも。(NHK 「さようならすべてのエヴァンゲリオン」より)

ナウシカでの巨神兵のシーンを高く評価した宮崎駿は、庵野を自分の「天空の城ラピュタ」や、「となりのトトロ」へ誘ったのだが、2回とも断られたというエピソードを岡田斗司夫がYOUTUBEで語っていた。

「 天空の城ラピュタ」の仕事を庵野に断られる。

風の谷のナウシカで大抜擢して、巨神兵のシーンを丸々やらせて、ラピュタでも庵野秀明の見せ場を用意してたら、大学の時の友達である俺たちに誘われて、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」っていう作品に連れて行かれてしまったと(笑)

宮崎先生よっぽど悔しかったか、一時期 週に1、2回ガイナックスに夜中に来てスカウトするという業界の掟破りなことをしだして。庵野君は、天空の城ラピュタは、めちゃくちゃ行きたかったそうなんですけど、ぐっとコラえて(笑)

「となりのトトロ」も断られる。

となりのトトロでは、宮崎駿はものすごい良い場所を庵野秀明に用意して「庵野、次はお前はオープニングだ」って(笑)となりのトトロってアニメは、全編リアルでやっているから、もうほとんどお前の出番はないんだけど、オープニングではゲジゲジとか蜘蛛とかトカゲとか変な生き物が出てくる。この変な生き物はお前じゃないと描けない!オープニング全部やれ!って言われて、庵野くんは心が動かされるんですけど。

ところが、高畑勲から、旧日本軍の軍艦描かせてやるって言われて、庵野秀明は、「えー」って言って、前は宮さんと仕事をした。今度は高畑さんだっていって(笑)やはり赤毛のアンとかそういうのでアニメーターとしての心がすごく動いちゃったんでしょうね。2回連続で宮崎駿は庵野秀明にフラれるってことになっちゃいました。

宮崎駿が語るエヴァンゲリオン

たまに会って、まだエヴァンゲリオン終わってないの?いい加減、早く終わらせなよって(笑)そういうことはありましたけど。それだけです。庵野はいつも庵野ですよ。庵野は庵野であればいんですよ。ともかく、頑張れって。おれはもうくたびれてきたけど、お前はまだ頑張らないとだめだって。(NHK 「さようならすべてのエヴァンゲリオン」より)

 NHKが宮崎駿作品以来、初めて長期密着した庵野秀明監督のドキュメンタリー「さようなら全てのエヴァンゲリオン」の視聴はこちらから。

僕、庵野の一番良いところは、正直なところだと思うんだよね。「エヴァンゲリオン」なんて正直な映画をつくってしまって、何もないことを証明してしまったというかね(笑)

自分の知ってる人間以外は嫌いだ。そういう要素は自分たちの中にも、すごくあるんですよ。

いや、僕は人間を罰したいという欲求がものすごくあったんですけど、でもそれは自分が神様になりたいんだと思っているんだなと。それはヤバいなあと思ったんです。それから『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明監督)なんかは典型的にそうだと思うんだけど、自分の知ってる人間以外は嫌いだ、いなくてよいという、だから画面に出さないという。そういう要素は自分たちの中にも、すごくあるんですよ。時代がもたらしている、状況がもたらしているそういう気分を野放しにして映画を作ると、これは最低なものになるなと思いましたね」
インタビュー集『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』

「風立ちぬ」での庵野秀明起用について

いや、庵野に声やってもらって、本当に良かったですね。プロデューサーと僕とほぼ同時だと思うんですけど、庵野がいいんじゃないかなと言ってから、その後は迷いませんでしたね。本当に良かった。声の収録は下の試写室と上のコントロール室で行うんですけど、庵野が色々言うもんだから、「下の監督」って言ってたんですけど、僕は上にいたんですけど、そのうち、並ぶようになって、「中の監督」になって、最後は庵野の方が上にいて、「上の監督」になってしまってて(笑)色々、おせっかいと助言をもらいました。

遠くの人が「はい!」っていうセリフがいらない、とか、ここは音楽いらない。とか色んなこと言うんですよ(笑)

庵野は、現代で一番傷つきながら、生きてるんですよ。

現代で一番傷つきながら、生きてるんですよ。その感じをもってたからです。それが声に出てるんで。角が丸くなったり、ぎざぎざしてるんですよ。それがそのまま出てくれたから。初めは庵野が喋ってると思ったんですけど、最後まで観たら、これは堀越二郎になってると思いました。それが凄く良かったです。

 「風立ちぬ」の声優が庵野秀明でなければならなかった理由はこちら↓
fc0373.hatenablog.com

庵野秀明

庵野秀明が驚いた「風の谷のナウシカ」のテーマ性

庵野:ナウシカの打ち上げの時に、スタッフのアニメーターの若い女の子が、人が滅びる話なんて、描いていいんですか?って言ってて、そしたら宮崎さんが

宮崎:人間なんて、滅びたっていいんだよ!!

庵野:とにかく、この惑星に生き物が残っていれば、人間の種なんてなくなったっていいんだってことを怒鳴ってるのを聞いて、ぼくはこの人、凄いと思ったんです。クリエイターとして宮さんが、好きになった。人そのものに執着していないって、あれ凄くいいですよね。(ラジオ「鈴木敏夫のジブリの汗まみれ」より

鈴木:「もしかしたら、私たちそのものが汚れかもしれない」そのセリフ読んだ時、あ、この人、人間よりあっちの方が好きなんだって思ったんですよ。
庵野:ええ、ナウシカが宮さんの最高傑作だと思います。宮さんが持ってるテーマ性っていうのが、あれに凄く集約されてる。原液のまま出てるのがいいですよね。本当は凄く、アレな人なんだけど(笑)
鈴木:負の部分というか…
庵野:それが、7巻には凄く出ててよかった。7巻には凄く凝縮してていい。(ラジオ「鈴木敏夫のジブリの汗まみれ」より

宮崎駿に直訴した「風の谷のナウシカ2」の制作

鈴木:ナウシカの2やらせろって言ったのはあれいつなの?
庵野:あれは…ラピュタの頃じゃないですかね?吉祥寺で(当時のジブリスタジオ)言った覚えがあります。
鈴木:あれは、宮さんに真剣に庵野がやるんならいいんじゃないですかって説得したの。3部作にしたらどうかと。そしたら2本目は宮さんが描いてる(漫画の)通り、これは殺戮の映画だと。で、第2部は、この後一体どうなるんだっていう映画であればいいから、庵野がつくれば絶対面白くなるって。その後、締めくくりを宮さんが第3部でやればいいじゃないかって。いい説得でしょ!?
庵野:ハハハ!(笑)
鈴木:そしたら、怒っちゃって(笑)やめてください!って。

 庵野が宮崎駿の最高傑作だと賞し、映画化を直訴した「風の谷のナウシカ」漫画版はこちらから

「もののけ姫」に作品の中身では勝ちにいった。

鈴木:仮想敵って何なんですか?
庵野:まあ、目標みたいなもんですよ。目標設定の一つです。ゴールではないんですよ。
鈴木:宮さんも仮想敵になったことあんの?
庵野:うーん。まあ、あります。
鈴木:そうなんだ。
庵野:人としては比べようもないけど、作ってる作品になると思うんですけど。そういうのは、何を持って超えるかっていうのは、ありますけど、意識ゼロじゃないですね。
鈴木:宮さんを仮想的にしたのは作品としてはなにつくってた時なの?
庵野:「もののけ」です。
鈴木:ほお…
庵野:ちょうど、師弟対決とか世間で言われていて。前のエヴァの映画をやっていた時なんで。
鈴木:なるほど。
庵野:あの時、ちょうど同じ(公開)タイミングだったので。
鈴木:勝ちたい、と。
庵野:いや、興行では勝てる気はしなかったですよ。作品の中身では勝ちたいと思った。
鈴木:どうだったの?
庵野:・・・・・
鈴木:まあ、そんな簡単には言わないだろうけど。
庵野:まあ、怒られそうだから。

庵野が語る「もののけ姫」の評価。「ダメでしたね」

鈴木:ひどいこと言うんだもん、だって(笑)「もののけ」の時もね。「もののけ」どうだった?て聞いたら、「レイアウトがだめになった」って(笑)
庵野:ダメでしたね。よく宮さんこのレイアウト通したなっていうぐらいダメでした。
鈴木:かなり自分で描いてるんだけどね(笑)
庵野:いやぁ.....ダメでしたね...レイアウトが世界一の人だった。
鈴木:はい、レイアウトマンだもんね。
庵野:あの空間のとり方の無さっていうのは、年とっちゃったのかなって。
鈴木:空間がなくなっちゃったんだよね。
庵野:はい。すごく平面的になっちゃった。
鈴木:凄いのはお話の方で、絵の方はさらっとしちゃった。
庵野:さらっとしてますね。あれが、「ポニョ」で粘りが出てきてよかったです。(ラジオ「鈴木敏夫のジブリの汗まみれ」より

庵野が旧劇エヴァで、本気で勝ちにいき、作品内容では勝ったと思った「もののけ姫」はこちらから

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宮崎から学んだ作品至上主義

扱っているテーマが違うだけで、姿勢は一緒だと思います。作品至上主義っていうんですかね。作品のために自分がいるっていうポジションですね。監督も、作品に必要だからいるだけで。自分が作りたいからっていうのは、もちろんありますけど、「自分が自分が」っていうものではなく、作品のために仕事をしているっていうのは、やはり変わらないと思いますね。それは宮崎さんや板野一郎さんの横で見ていて感じて、「あぁ、これでやっぱりいいんだ」と。学んだといよりは確認したような感じですかね。(ジブリのせかい 庵野秀明インタビューより)

「宮崎さんに教わったのは、作品づくりの姿勢ですね。こんなに一生懸命やるんだと。寝る間も惜しんで、机の上でクオリティを維持し続ける精神力と集中力がすごい。仕事をすればするほどクオリティは上がるし、逆に作業から離れた分はクオリティが下がるということを教えられました。今の自分もまさにそうですし、体力の限界までは常に頑張ります」(庵野監督)。

100%の宮崎駿が一番おもしろい。

宮さんの1番いいところはいつ見ても絵コンテなんですよ。宮さん100%なので、コンテが1番おもしろい。絵コンテから作品になっていく過程で、宮崎駿率が下がっていく。僕が宮さんの作品で1番好きなのは、漫画『風の谷のナウシカ』なんです。あれは漫画だから、作品が100%宮さんで構成されてるんですよね。

川上:宮崎駿しか描いてないですからね。庵野さんの場合も、絵コンテの完成度が1番高いですか?

庵野:僕の場合は、絵コンテの完成度を低くしてるんです。とにかく、おもしろさの要素だけを絵コンテに詰めて、どうおもしろくするかはアニメーターによって方向性が変わっていくんです。
(日刊SPA エヴァ監督・庵野秀明が語る「宮崎駿との決定的な違い」)

川上:宮崎駿しか描いてないですからね。庵野さんの場合も、絵コンテの完成度が1番高いですか?

庵野:僕の場合は、絵コンテの完成度を低くしてるんです。とにかく、おもしろさの要素だけを絵コンテに詰めて、どうおもしろくするかはアニメーターによって方向性が変わっていくんです。

川上:素材なわけですね。

庵野:コンテに全部描き込みすぎちゃうと、そっちのほうが面白くなっちゃう。コンテより面白くするには、コンテがある程度つまらないほうがいいんですよ。「これは面白い」「これがこういうふうになれば面白くなるんじゃないか」とか、スタッフのやる気を出しつつ、最低限の設計図であればいいんです。

 絵コンテが作品づくりのハブになればいいんですね。設計図じゃないんですよ。宮さんの場合は、絵コンテが完成予想図なんですよね。そうではなくて、これとこれがこう繋がったらおもしろくなるんじゃないかとか、その先にもっとおもしろくできる余地を残したい。

川上:基本的に宮崎さんは、絵コンテと同じものができますよね。庵野さんは生き物のように変わっていきますよね。

庵野:変えていきたいんです。ここは宮さんと全然違うところです。最初にイメージを作りたくないんですよね。それをすると到達点が見えちゃうんで。そうではなくて、どういうふうになるのかわからないけれど、こうしたほうが、こうしたほうが……っていうのはギリギリまで探りたいです。

 まぁ、大変なんですけど。ものを作るのは本当に大変です。ちゃんとしようと思ったら、さらに大変です。ただでさえものを作るだけでも大変なのに、それをちゃんとするとなったら本当に大変です。
(日刊SPA エヴァ監督・庵野秀明が語る「宮崎駿との決定的な違い」)

宮崎駿は師匠であり、恩人。

庵野:エヴァンゲリオンのテレビが終わって、僕はボロボロで、一回そこでぐっと落ちて、そこからはね上げてくれたのも、宮さんのおかげ。引きこもって、本当にあの時は、このまま生きていてもしょうがないなあ。と思っているときに電話一本くれて、「とにかく、休め。半年くらい休んだって大丈夫だから」って。そういえば、宮さんも3年くらい休んでたなあって(笑)それで立ち直りましたよ。やっぱりアニメが好きだったんです。
鈴木:宮さんのところに是非きてください。だって、宮さん、庵野のこと好きだったもんね。今も本当によく話すよ?どうしてる?って
庵野:また遊びに行きます。
(ラジオ「鈴木敏夫のジブリの汗まみれ」より

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風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡