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押井守が語るジブリ鈴木敏夫の二面性と恐ろしさ

ジブリプロデューサー鈴木敏夫と20年来の付き合いである押井守監督が、「シネマシネマ押井塾」で、当時ジブリを辞め、プロダクションIGへ転職していた石井プロデューサーと、鈴木敏夫という男との出会いから、映画製作におけるプロデュース力の恐ろしさについて語っていた。鈴木敏夫の手にかかれば、映画はスケールを獲得しヒットするが、ありとあらゆる手で映画を乗っ取りにかかるのだという。
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鈴木敏夫との出会いに関して

随分ケンカもしたし、罵りあいもした

押井:鈴木敏夫っていう男はさ。本当に見てて飽きないわけで。僕も20年近く付き合ってるんだけど。「うる星やつら」の時に会って以来で、一緒に仕事をしたのは「天使のたまご」と「イノセンス」の時の2回だけ。それぐらいしか仕事してないんですよね。にも関わらず、25年間、凄く濃い付き合いをしてきた。随分ケンカもしたし、罵りあいもしたし。だから僕は恫喝されても全然、どうってことないっていう性格を子どもの頃に獲得しちゃったわけで。鈴木敏夫の恫喝にめげない数少ない人間だったわけだ。

 

鈴木敏夫は押井を唯一の友人であると言う

 石井:鈴木さんからいつも聞いていたのは、宮崎駿と高畑勲は、仕事仲間だと。だけど、自分の友人と言えるのは押井さんなんだよ、って僕が下になった時から言い続けていたので。個人的には、何か非常に違う関係なんだなと思ってたんですね。年が近いこともあり、今どんな映画をつくるべきかということがこれほど話があった人はいない、と。一緒につくりたい、つくりたいと思いながら、これまでできなかったと。

押井:実はなんどか一緒につくろうとしたことがあった。

ジブリ鈴木敏夫、宮崎駿と押井守でつくろうとした作品について詳しくはこちら
ghibli.jpn.org



鈴木敏夫が、「イノセンス」で宣伝プロデューサーを務めることになった時のエピソード。

映画を乗っ取ってしまう鈴木敏夫の恐ろしさ

押井:「イノセンス」の時は石川(プロダクションI・G社長)が言い出して、絶対やめろ!って。映画、乗っ取っちゃうよって。
石井:まずタイトル乗っ取りましたもんね。主題歌も乗っ取りました。
そういう恐ろしさをもってますよね。
押井:ジブリの作品でも具体的に、まあ終わっちゃったから言っちゃってもいいかもしれないけどさ。「魔女の宅急便」ってね、あれ鈴木敏夫の映画だもん。
石井:ねえ、なんか娘さんが。
押井:あれ、鈴木敏夫が娘のためにつくった映画で、宮さんらしくないもん。明らかに。宮さんらしいのは、最後に飛行船が落っこちてくるところだけで、あれいらないんだから(笑)どう考えても、あそこのシーンはいらない。宮さんの最後の抵抗だからね(笑)
石井:でも、あれは鈴木さんが、あまりにもあっけないから、つけたという説がありますよ。
押井:それはね、宮さんとの人間関係のバランスをとったとしか思えないね。他の現場は大変な思いをしてね。一番最後の最後にあんな凄いシーンやらさせられて。しかもいらないっていう。誰が観たってそういうよ。うちの師匠なんて激怒してたからね。なんてことするんだって(笑)
押井:結局、ジブリの作品っていうのは、鈴木敏夫の影がいつもチラついてて、逆に映画を覆っちゃう瞬間がある。逆に宮さんがやり放題になっちゃう時期もあるけど。

石井プロデューサーから、映画を覆ってしまう鈴木敏夫の支配欲から、押井はうまく逃げ続けているのでは?という指摘に対して

あの男と組んだら大変なことになる。そう思ったことは確かだよ。

押井:あの男と組んだら大変なことになる。そう思ったことは確かだよ。確かに映画はスケールを獲得して世に出すっていうところでいうと、天才的なところがある。でも、そのために映画をどんどんどんどん色んな形でさ、説得にかかるだろう。宮さんもやられてるし、高畑さんも一部、やられてるはずなんだよ。
「天使のたまご」の時は、そういうことしなかったから。製作側は、逆に主題歌つけようとか色んなことをしてきたんだけど、それを恫喝してやめさせたのは、あの男(鈴木)なんだよね。これはそんな映画じゃないんだって怒鳴りまくって潰したのは彼。わけわかんない主題歌なんかつけちゃダメだって。それが、ジブリをつくって、そっちに行った瞬間、そういう人間になっちゃった。

鈴木は説得に労を惜しまないし、相手が喋るに値しないと思ったら、恫喝に入る

押井:たぶん彼はね。技術者とか作家は尊重する。彼の頭の中では、映画監督っていうのは、作家じゃないんだ。「天使のたまご」の時は、作家としてやった。だから編集者と作家の関係だったんだよ。だから、彼も守ったんだよね。
それからいろんな映画をつくり、彼の頭の中に信念として出てきたことは、映画監督は作家じゃないし、作家であってはいけないんだっていうこと。編集者は作家にテーマを与えることはあるけど、描いたものに対して、あそこいじれとか言わないわけだ。あそこまで露骨な介入はしない。彼の悪質なところは、強肩的に迫るわけじゃないんだよね。説得するんだよね。「あなたは納得してるはずだ」ってね。説得するために喋り倒す時間を絶対に惜しまない。おそらくトータルで、僕と敏ちゃんの間で数百時間は喋ってる。たぶん、宮さんとの間で数千時間喋ってるんじゃないかな。で、相手が喋るに値しないと思ったら、恫喝に入る。「やかましい、だまれ」だよ。あの使い分けっていうのは、見事だよ。説得に労を惜しまない。説得に値しないと思ったら、徹底的に省略するっていう。二面性があるわけだ。だから僕のポリシーには反する。

そんな風に鈴木敏夫の恐ろしさを語る押井守が、世界に与えた恐ろしいまでの影響についてはこちらから
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本記事では、鈴木敏夫の暗黒面について触れているが、宮崎駿作品を国民的映画としたのは鈴木敏夫の力に寄るところが非常に大きいということをまとめている記事はこちら。
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