村上春樹がノーベル賞を絶対にとれないし、とれてない理由

 村上春樹がノーベル賞を絶対にとれないし、とれてない理由をまとめてみた。

そもそもノミネートされていない(可能性がある)

「なぜ取れないのか?」と問うためには、春樹がノミネートされているという前提の事実が必要だが、そもそも候補になっているのかどうか、わからないのである。
 毎年「今年は春樹の受賞可能性は○位」などという記事が出て、2016年は1位だとか報じられていたが、あれはブックメーカーが勝手に発表している賭け率であって、選考にあたっているスウェーデン・アカデミーは何ら関与していない。(2016年10月18日 東洋経済 村上春樹がノーベル文学賞を取れない理由より)

村上春樹がノーベル文学賞を取れない理由 そもそも本当にノーベル賞候補なのか? | 読書 | 東洋経済オンライン

世界中で売れすぎて「エンターテイメント作家」になってしまった。

あまりに高い人気を誇るため、スウェーデン・アカデミーが村上さんをエンターテインメント作家と判断していることを最大の理由と挙げる声は多い。ノーベル文学賞は知る人ぞ知る純文学作家や詩人に贈られるケースがほとんどで、エンタメ作家が受賞したケースはほぼ皆無。村上さんの作品はカテゴリーとしては純文学だが、平易な言葉や文体を用い、都会的なユーモアセンスなどで世界中に読者を獲得している状況はエンタメ作家的と言える。世界的人気では村上さんをしのぐ米国の「ホラーの帝王」スティーブン・キングさんが、今回初めてラドブロークスの予想下位に入ったことが話題になるくらい、エンタメ作家には狭き門となっている。(2021年10月8日 スポーツ報知より)

作品に政治性・社会性が足りない

ウォール・ストリート・ジャーナルは、過去の日本人文学賞受賞者である川端康成や大江健三郎との比較を紹介している。

同教授は、例えば大江氏の作品では、社会の中で少数派の人々の葛藤や原子力問題など、政治的・社会的問題が扱われるのに比べ、村上氏の作品はあまりそういう要素がみられない、と指摘している。このため、同氏の作品は強力なテーマや目的が欠けているとみられており、それがノーベル賞をいまだに受賞できない理由のひとつだろう、とみているようだ。(2013年10月7日ハフィントンポストより)

村上春樹がノーベル賞を取れない理由 海外メディアが分析 | ハフポスト NEWS


自身の出自と向き合っていない

 近年、村上春樹がやっと語りだし、作品でもわかりやすく向き合い始めた「戦争経験もあり、僧侶である父親」というテーマにちゃんと向き合うことが世界に本当の意味で春樹文学が伝わるのではないかという意見もある。

重里:春樹も、「無国籍的で、アジアの小説なのに欧米アイテムがかっこよくつかわれている」という理由だけで評価されているようだと、風俗が一変する数十年後には忘れ去られる可能性があります。宗教もふくめた東アジア土着の問題をしっかりベースにしてこそ、死んで百年経っても読まれるドストエフスキーみたいな作家になれるのではないでしょうか。

重里 その点を踏まえて助川さんは、「春樹の仏教化に期待する」とお書きになったわけですね?

助川 おっしゃるとおりです。春樹の父親は高校教師であるとともに、僧侶でもありました。春樹にとって「仏教化」することは、日本の伝統につながるだけでなく、自身の出自と向きあうことにもなります。

重里 そうやって自身の足元を見つめる作業を進めると、さらに作品世界を深める鉱脈があると。(2019年3月1日 平成文学総括対談より)

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