岡田斗司夫による庵野秀明 総監修「シン・ウルトラマン」の批評・裏設定まとめ

岡田斗司夫が語る庵野秀明 総監修「シン・ウルトラマン」の批評と裏設定についてまとめてみた。

『シン・ウルトラマン』Twitterより

どこにも庵野秀明がいない

庵野が『シン・エヴァンゲリオン』の製作に追われていたため、総監修にまわった本作を「庵野映画」としては演出が甘いと岡田は評価している。

岡田:どこにも庵野秀明がね、ちゃんといないんですよ。片手間の庵野秀明しかいない。パンツを脱いだ庵野秀明がいないんですよ。


それによって演出が甘くなってるので、庵野映画としては75点。ジブリでいうと、名前出して悪いんだけど宮崎吾朗の新作ぐらいですね。


(2022年5月15日 岡田斗司夫ゼミより)

たしかに庵野秀明作品濃度でいえば40%程度でしたよね!

斎藤工と山本耕史の演技は面白いし評価できる

ウルトラマンを演じる斎藤工と、メフィラス星人を演じる山本耕史の演技が素晴らしかったと岡田は絶賛している。

岡田:この2人のね演技がすっげえ面白い!斎藤工がウルトラマンだから瞬きしないんですよ。


それに対して山本耕史の方は宇宙人が地球人やってる不自然さなく、ものすごい普通の演技、どちらかというと礼儀正しい人間の演技やってるんですね。


それがですねメフィラス星人の地球の文化を理解して、散々味わって人間を完璧に演じきることで逆に邪悪さを表現してるって感じですね。


(2022年5月15日 岡田斗司夫ゼミより)

斎藤工の演技は良かったけど、そもそもウルトラマンだったらなぜまばたきしないんだ?という疑問もあります

実はゾーフィとゾフィーが劇中に登場する多元宇宙ものである

岡田は「ゾフィー」と「ゾーフィ」が劇中に登場する多元宇宙ものであると本作を解釈している。

岡田:ゾフィーが本編内ではですね「ゾーフィ」と呼ばれてる。ところがラストでですね。


ウルトラマンとゼットンが戦った後ですね、もう一回出てきて会話する時にですね、「ゾフィー」って言ってるんですね。


普通にこの差が気になっててですね。最初見たときからずっと気になってたんですが、


本編内ですべてのメタバースがとか言ってて、これ多元宇宙ものなのかなと思ってですね。(2022年5月22日 岡田斗司夫ゼミ「ネタバレありでシン・ウルトラマン」より)

たしかに呼び方ゾフィーの呼び方が変わっているのは気になりましたね

岡田:そもそもラストが『トップをねらえ!』(岡田斗司夫原作・庵野秀明監督作)じゃないですか(笑)いわゆるゾフィーを倒した時にどうなったかというと、重力波崩壊みたいなものが起こってそこに引き込まれそうになって地球に戻ってきた。『トップをねらえ!』だとですね超未来の世界に戻ってきたのが、『シン・ウルトラマン』ではですね、別の宇宙に帰ってきた。(2022年5月22日 岡田斗司夫ゼミ「ネタバレありでシン・ウルトラマン」より)


『シン・ウルトラマン』と酷似する『トップをねらえ!』のラスト

『トップをねらえ!』

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宇宙怪獣の増援が迫る中、ノリコは「バスターマシン3号」へ向かいます。彼女は自身が乗る「バスターマシン1号」の縮退炉を暴走させることで誘爆を起こそうと考えたのです。タシロの制止を振り切り爆弾へ向かう彼女を、カズミは「ガンバスター」へと合体した状態であれば、もう一つの縮退炉で脱出することができると考え追いかけます。

カズミの予想通りたとえ生き残れたとしても、起爆後に発生する超重力により途方もない時間が経過してしまうという代償は避けられません。ですがそれを覚悟で、2人は「バスターマシン3号」内部へと突入します。

爆弾中心部に到達したガンバスターは、胸部の縮退炉で爆弾の起爆に成功。起爆を確認したタシロはやりきれなさを感じながらも、艦隊を地球に帰還させます。

爆発から無事逃れたノリコとカズミでしたが、その時には一万二千年もの年月が流れていました。地球に帰還する二人は人類の行く末を案じていましたが、そこであるものを目にします。

「オカエリナサイ」(※「イ」は左右反転)

地表を光で描かれた人類からのメッセージに2人は喜びの涙を流し、損壊した「ガンバスター」に別れを告げながら地球へと降りていきました。(トップをねらえ!ネタバレ考察と最終回の解説感想よりhttps://cinemarche.net/anime/aimforthetop-netabare/

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岡田:ゾーフィはですね、本国の意向に忠実なアメリカからの出張役人みたいなやつなんですね。「ウルトラマンよ。君がどう言おうと本社の意向でもうこういうことになってるんだからこの裁定は変えられないよ。でも君にとってベストなことを考えようじゃないか」っていう。重力波崩壊の後にですね、変なところに移ったらですね、急に日本人役人みたいになってですね。「そうか、そんなに人間のことが好きになったのか」って言うセリフがあってですね(笑)やけに優しいと。「ゾーフィ」から「ゾフィー」になったところでキャラ変があってですね(笑)(キャラの)変わり目のところに、重力崩壊があるから。元の地球と今の地球があってパラレルもので、これをもってかつての円谷のウルトラマンの世界が肯定されるという『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』をやったんじゃないかなっと(笑)(2022年5月22日 岡田斗司夫ゼミ「ネタバレありでシン・ウルトラマン」より)

岡田斗司夫ゼミ該当回はこちらから
「ネタバレありでシン・ウルトラマン」「グロい絵と人格」「女性が一人で生きていく」サイコパスの人生相談5月増刊号 岡田斗司夫ゼミ#442(2022.5.22) - YouTube


※『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)以前にピーター・パーカー/スパイダーマンを演じてきたトビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドが、それぞれのユニバースのピーター・パーカー/スパイダーマンとして登場した。
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ネタバレ注意! 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がシリーズ最高傑作と評される理由。 | Vogue Japan

シン・ウルトラマン アートワークス:『シン・ウルトラマン』に登場する主要なアイテムのデザイン画、CG モデル、検証用立体造形物といったアートワークをおよそ500点超にわたり掲載し、アイデアから姿形が定まるまでの進化の過程を追った記録集。 また企画・脚本の庵野秀明による約12,000字におよぶ手記を掲載。