『AKIRA』で知られる大友克洋の天才性がわかるエピソードを業界関係者の声を中心にまとめてみた。
- 手塚治虫(漫画家)本気で大友に嫉妬した伝説のエピソード
- 浦沢直樹(漫画家)1本の線で世の中を変えた天才
- 桂正和(漫画家)漫画における発明である
- 山田玲司(漫画家・評論家)
- スティーブン・スピルバーグ(映画監督)
- カニエ・ウェスト(ラッパー)
- スーザン・ネイピア(日本文化研究家)
手塚治虫(漫画家)本気で大友に嫉妬した伝説のエピソード
「BSマンガ夜話」で漫画家の江口寿史先生が「本当の話だよ。俺、大友さんに聞いたもん」という証言で事実認定されたエピソード。手塚治虫が大友克洋に初めて会った時に嫉妬のあまりに、こんな発言をしたと言われている。
手塚:僕は君の絵なら描ける。僕が唯一描けないのは諸星大二郎の絵だけだ」
手塚治虫のアシスタントを務めた池原しげとは、手塚がアシスタントの才能に嫉妬することはあったのか?と聞かれ、このように答えている。
池原:さすがにそれはなかったんじゃないかな(笑)。手塚先生が本気で嫉妬したのは石ノ森章太郎先生と大友克洋先生くらいじゃないでしょうか。石ノ森章太郎っぽい漫画で勝てる自信はなかったかもしれないし、大友さんよりリアルな絵は描けないだろうし、そういうコンプレックスがあったんじゃないかな。その他の人はほとんど気にしていないと思いますよ。僕の見た限りではね。(2020年10月9日 関係者インタビュー 私と手塚治虫https://tezukaosamu.net/jp/mushi/entry/25169.html)
浦沢直樹(漫画家)1本の線で世の中を変えた天才
『20世紀少年』『MONSTER』などで知られる浦沢直樹も大友克洋の絵に衝撃を覚えたのだという。
浦沢:天才というのはスーッと1本の線を引くだけで世の中を変えてしまうような人ですかね。例えば手塚先生や大友先生はそうなんですよ。音楽でもそうですがジョン・レノンが歌いだしでがなった瞬間に世界中の人の心を動かしましたよね。その1本の線や歌いだしで何万人の人の心をワーッと動かさせて、多くの人の人生観をひっくり返してしまうような人は天才だと思います。(eggman 浦沢直樹インタビュー後編よりhttp://eggman.jp/special/post/)
桂正和(漫画家)漫画における発明である
「美少女を描かせたら日本一」と称される桂正和。『ウイングマン』『電影少女』『ZETMAN』などヒット作を数多く手掛けてきた桂正和も、大友克洋『童夢』の絵に衝撃を覚えて、その技術をパクりまくったのだという。
桂が衝撃を覚えた『童夢』の有名なシーン
桂:これは発明です!何が凄いかっていったら、ここに円のエネルギーを感じるわけなんですよ!エネルギーを球としてとらえるっていう発想が凄い。絵柄は全然違いますけど、完全にいろんな所をパクりました。(2022年1月1日 テレビ朝日 「人気漫画家が選ぶ!本当にすごい漫画はコレだ!2022」より)
山田玲司(漫画家・評論家)
山田:はっきり言うと、この人は3Dなんです!一言で言うと。こんなレベルの3D知らないってぐらいのレベルの3Dだった。AKIRAは鼻を描きます。団子っ鼻をかっこよく描きました。上に斜線を描くっていうことで鼻の立体感を出すことに成功してるんですけど。手塚先生クラスのビッグバンとして。(2018年1月13日 山田玲司のヤングサンデー ジャパニメーションは何から逃げてきたのか!?よりhttps://www.youtube.com/watch?v=Pre02rfnZoI&t=0s)
スティーブン・スピルバーグ(映画監督)
映画監督スティーブン・スピルバーグは『レディ・プレイヤー1』でヒロインのアルテミスが仮想現実世界で使用する乗り物として大友克洋の『AKIRA』のバイクを登場させた。
スピルバーグは、『レディ・プレイヤー1』の来日記者会見で『AKIRA』へのリスペクトを口にしている。
スピルバーグ:『AKIRA』のバイクが大好き。映画でもタイヤのグリーンフラッシュを忠実に再現した。『AKIRA』は凄い作品だ。
カニエ・ウェスト(ラッパー)
カニエ:これまでの全てのステージ、『Stronger』をはじめとした全てのMV、全てのプロダクト、そして病院にいるときだって、これはまるで『AKIRA』のようだと思っていた。『AKIRA』はアニメの歴史において、もっとも偉大なだけではない。『AKIRA』のテーマは世界中が抱える現代社会の問題にも関連している。(カニエ・ウェストのツイッターより)
スーザン・ネイピア(日本文化研究家)
『AKIRA』の野心的テーマは漫画自体のイメージも一変させた。大人向けの漫画になじんだ日本の読者も、若者が軍と科学の犠牲になる『AKIRA』の黙示録的世界観に心を奪われた。外国の読者にとっては、これほど複雑で不穏なテーマを扱う「コミック本」が存在するという事実は衝撃だった。
(OHTA BOOK STANDハリウッドを嫉妬させた『AKIRA』の功績よりhttps://ohtabookstand.com/2017/02/22020746/)
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