映画史にその名を残すイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作として知られる自伝的作品。一流映画監督のグイドは、新作の構想に行き詰まってしまいクランクインを2週間も先延ばしにしていた。療養のため温泉地を訪れるグイドだったが、女性たちとの関係や仕事上の知人たちとの現実に悩まされ続けるうちに、様々な夢や幻が彼の前に現われるようになり……。（映画.comより)
フェリーニの最高傑作ですね。
太田：フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』。フェリーニの最高傑作ですね。
伊集院：ちょっと思うのは、色んな人からフェリーニって言葉は出るけど、ちょっと含みがあるというか（笑）「難しいけど、君は分かるのかね？」みたいな。
太田：だから、そういう嫌な思いするでしょ？そういう嫌な思いするなら、これだけ観とけばいいですよ。
伊集院：へーーー！これは、難解ではないんですか？
太田：難解ですよ。
俺もこういう前衛的な映画って好きじゃないんですよ。
太田：俺もこういう前衛的な映画って好きじゃないんですよ。俺が日大芸術学部にいた時、映画学科のやつらって、こういうのを撮りたがるの。でも、僕はいいと思ってないんですよね。黒澤とかチャップリンが好きだから。でも、映画をやるんだったら、これ観とかないといけないんですよ。その頃、映画を撮りたいってやつの、最初がフェリーニやりたいっていう感じだったの。
伊集院：お笑いもそうで、ベタよりもシュールの方が偉いって思っちゃう時期があって。
太田：ありますあります。
伊集院：シュールをつくろうとして、シュールをつくるのはおかしくて、面白いものをつくろうとして、シュールになるのはわかるんだけど。
太田：わかります。
伊集院がフェリーニ観なきゃと思った、ビートたけしの言葉
伊集院：僕、いつかフェリーニを観なきゃって思ったのが、たけしさんがつくっていた映画を、誰かが「デヴィッド・リンチみたいですね」って言ったのに、「フェリーニだよ！」って言った。その最近流行っているデヴィッド・リンチをなぞってるなんて浅はかな解説をするんじゃない、と。俺の映画を解説するなら、フェリーニぐらい観てこいよ、ということをおっしゃってた。
太田：なるほど。
伊集院：僕はデヴィッド・リンチが好きで、たけしさん世代だから、観とかなきゃって。
太田：前衛はこの映画一本でいい。これで十分語れる。これは、感情移入できるんです。これは映画監督の話なんです。たけしさんで言うところの「監督・ばんざい！」あれですよ。前衛映画をやりたいってやつは大体金が無いんですよ。
でもこれは巨匠がセットから美術から全部含めて、前衛とシュールをやってるんです。ちょっとしたユーモア、おしゃれ、センス、表現力、イマジネーション、そして、マルチェロ・マストロヤンニっていう当代一の俳優がいて、前衛というのは、この一本で終わりって。
シュールの根底に人間愛がある。
ゴダールは、（観客を）突き放すんですよ。フェリーニは根底に芸人が好き、人間愛があるから、すっごく温かいものが、突き放している映像の中にあるから、もう。ラストシーンは最高です。
感想篇
そして、ここからは、映画を観た後の感想トーク。相方、田中の感想が興味深い。
ラストシーンが美しい。
太田：ラストシーンがまあ美しい。とにかくあのイントレの美しさ。だからこそ予算がないとやっちゃいけないんだ。あそこに人が登っていく美しさ。カメラがパンする時、全員が出てくる。あの音楽とのタイミング。
田中：あれはぞーと来るね！
太田：うっわかっこいいって。フェリーニって芸人が好きなんだなって。そして、「人生は祭りだ」っていうあの言葉。
フェリーニは本当に人間が好きなんだなってなる。
田中：そうそう。だから終わり方が良いのよ。こういう映画って、最後わけわかんないことになっちゃって終わりそうだけど、この終わり方がいい。
シュールをやるなだどれだけの表現力があるかで勝負しなきゃだめ。
俺は、ゴダールとかはまんなかったんだけど。フェリーニが何がいいかって、シュールをやるなだどれだけの表現力があるかで勝負しなきゃだめじゃない。あのセンスの良さ、シーンの積み重ね、イマジネーションは、他の映画の、ちんけなシーンの積み重ねだと、そいつには前衛をやる資格がない。ここまで考えられるのなら、やる資格がある。
８０年代の日本のカルチャーは全部この映画の影響
田中：８０年代の一番おしゃれなPARCOとかSUNTORYとかのコマーシャルって全部あれ（『8 1/2』）お手本だよ。
伊集院：そう、最後、芸人４人がイントレに向かっていくシーンみたことあるよね？
田中：あれはＳＵＮＴＯＲＹのランボーのCMだよ。あとPARCOとか、コム・デ・ギャルソンのファッションとか全部これがお手本。
↓下記より視聴できます。
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