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高畑勲の異常なこだわり エピソードまとめ

 高畑勲は、自身の作品を異常なこだわりによって、つくりあげてきた。東大出身の超インテリ、研究好きの高畑勲のこだわりや考察ぐせにまつわるエピソードをまとめてみた。

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「風の谷のナウシカ」のプロデューサーを断る理由をノート一冊に研究結果としてまとめた

 今となっては、普及の名作として語り継がれる「カリオストロの城」だが、当時の劇場は不入りで、宮崎駿は次回作のオファーが来ない「干された」状態となっていた。そこで鈴木敏夫が原作となる漫画を書かせ、漫画は大ヒットしたと、関係者を説得してまわり、なんとか制作資金を集めたのが、「風の谷のナウシカ」だ。宮崎駿は、自身の再起をかけ、必ずヒットさせなければならない「風の谷のナウシカ」のプロデューサーは、高畑勲にこそ、やってほしいと鈴木に言った。
 そんな熱い話なのだが、高畑勲は、即答で断ったそうだ(笑)「私は、プロデューサーには向いていません」と。それでも、宮崎駿の頼みだからと鈴木敏夫は、毎日毎日、説得へやってくる。そこで、高畑は、プロデューサーの仕事について調べあげ、自身がなぜプロデューサーに向いていないのか、その理由を1冊のノートにびっしりと研究結果としてまとめ、最後のページには、こう書いてあったという。

高畑:だから僕はプロデューサーに向いていない(天才の思考「高畑勲と宮崎駿」より)

柳川堀川物語、製作費を使い倒して、宮崎駿の家を抵当に入れる

 風の谷のナウシカの成功を受けて、宮崎駿には、興行収入に応じた多額の利益配分が転がり込んだ。大金をどうしたらよいかわからない宮崎は、「好きな車も買いたいが世間から後ろ指をさされるくらいなら、見栄と意地を張って、意味のあることに使いたい」と言い、高畑勲の「柳川堀川物語」の製作費として使うことにしたのだという。
 ところが、高畑勲は、柳川に部屋を借りて、制作スケジュールを無視し、延々と作り出し、ついに製作費が底をついてしまったのだという。ある日、宮崎は、鈴木を訪ね、こう言ったという。

宮崎:時間もお金も費やしたけどまだできない。僕の家はボロ家だけれど、家を抵当に入れてまで映画を作ろうとは思わない。鈴木さん、何か知恵はないものだろうか。

 鈴木は、大変だが、もう一本、宮崎駿が作品をつくり、大ヒットさせようと提案したという。そこで、宮崎が「天空の城ラピュタ」の構想を語りだしたのだという。鈴木は、「柳川堀川物語」のロケから帰ってきた高畑に「ラピュタ」のプロデューサーを引き受けるよう話すと、高畑は製作費を使い倒したことを悪びれることなく、とんでもないことを言い出した。

高畑:ああ、すみません。このあたりには立派な家がいろいろありますね。僕がこの映画を作らなきゃ、宮さんだってこういう立派な家に住めたのに(天才の思考「高畑勲と宮崎駿」より)

火垂るの墓

 B29が神戸の街に空襲にやってくるシーンのために、高畑は、当時B29がどの方向から飛んできたのかを調べ上げ、清太の家の玄関と庭の方角を考慮して、空を見上げる顔の角度を決めたそうだ。
 また、焼夷弾がどう爆発するのかを調べるために、どこからか、本物の焼夷弾を手に入れ、スタジオに持ってきたのだという(笑)
 高畑勲が「火垂るの墓」で本当に描きたかったことはこちら
fc0373.hatenablog.com

おもひでぽろぽろ

 高畑は、「おもひでぽろぽろ」で山形を舞台に描くにあたり、紅花(山形の県花)をモチーフとすることに決めた。f:id:FC0373:20210920112116j:plain
 高畑は、何の準備もせずに山形へ行き、観光課を訪ね、紅花農家を紹介してもらい取材を行ったのだという(笑)取材から帰ってくると、高畑は一心不乱にノートに何かを書き出し、鈴木は脚本をまとめているのかと思ったらしいが、紅花にかんする本を片っ端から集めて、栽培方法をノートにまとめていたのだという(笑)さらに、取材先の農家のつくり方は間違っている。米沢の人のつくり方が正しいと言い出し、もう一度取材に行こうとしたのだという(笑)

かぐや姫の物語

 「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で、かぐや姫の物語制作時の高畑勲の異常な建築知識について語られていた。

鈴木:かぐや姫の時にね、高畑さんが建築に詳しくてねえ…。高畑さんに教えてもらったんですけど、平安時代の家って、玄関が無いんですよ。それで、人はどこを出入りしてたかって、そういうこと全部知ってるんですよ(笑)
藤巻:高畑さんと、長崎に行くことがあって、眼鏡橋ってあるじゃないですか?あれ、どうやってつくるか知ってる?って言われて、いや知らないです。って言ったら「ほんとに君は何もしらないね!!!」
って言われて、そんなこと知るわけないじゃないですか(笑)

鈴木:宮さんとは世界中いろいろ一緒に行ったんだけど、高畑さんも一緒に連れてったら、宮さん怒ってねえ(笑)
藤巻:何でですか?(笑)
鈴木:そしたらね、屋根は何方式か、建物は何方式か。海外のも全部知ってるわけ。これは16世紀のなんとかで、それを現代風にするとこうなるから、とか(笑)
藤巻:はあ。
鈴木:そうするとね。宮崎駿は、始めの頃はスケッチしてたんですよ。ところが、高畑さんは部屋の間取りはどうなってるか?表から見て、分かるようにしろと(笑)映画っていうのは立体なんだと。2次元でありながら、立体を表現しなければならない。歩きながら、宮さんがスケッチしている間中、高畑さんから質問を浴びせられるんですよ。そうすると、宮さんが「本当に疲れる」と(笑)

鈴木敏夫が、高畑勲との異常なエピソードについて語っている本はこちら

 宮崎駿と高畑勲の決定的な違いについてはこちら
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